回復期リハビリテーション病棟にて病気により障害を負った方々へリハビリテーションを実施し、患者が再度自宅で生活を行えるように支援をします。支援の細かい内容としては、家の中や屋外を歩けるようになるための歩行訓練、日常生活で必要な動作を直接的に練習する日常生活動作訓練、高次脳機能障害を患った方への高次脳機能評価・訓練を実施します。退院前には患者同行で自宅へ訪問し、自宅での生活へ円滑に移行できるように各関係職種と協業します。
訪問リハビリでは、退院後の患者を対象に実際に生活する環境へと訪問し、生活で困っている事や今後できるようになりたい事を対象者から聴取し、目標の達成にむけてリハビリテーションを実施します。訪問先への移動は電動自転車にて行い、一日平均３～４名の対象者に訪問します。

リハビリテーション科のスタッフが総勢１５０名と多く、サービスを提供するにあたりビジョンを共有する事が難しかったです。そのため各スタッフの仕事に対するモチベーションにバラつきが出てしまい人間関係で軋轢を生む事が少なくありませんでした。その軋轢が原因で職場への不満を訴えるスタッフも多くなった事にストレスを感じ、別の環境への転職を考えました。
また、管理者の事業に対するビジョンや理念がスタッフに浸透していなかったため、皆が同じ方向を向いて、より良いサービスを模索する事ができていなかった事にも違和感を感じ続けていました。そのため部署の人数が少ない方が、管理者やスタッフ間でのビジョンや目標の共有がしやすく、働くうえでも自分が感じるストレスが減るのではないかと考え、転職をしました。

仕事に熱心な後輩への実技指導や知識の還元を目的とした勉強会は定期的に行っており、互いに自己研鑽しながらレベルアップできていた実感があったので、それは続けたかったです。
また、病気や障害により元の生活に戻れない方や、社会復帰を目指す方への支援にはやりがいを感じていたので、それは続けたかったです。

最終的な決め手は同業者からの勧誘でしたが、転職を考えた時期から作業療法士の求人情報をインターネットで収集していました。
求職支援サービスの利用はしませんでした。

部署の人数が少ない方が互いに事業所のビジョンや方向性を共有しやすいのではないかと思い事業所の規模自体は大きくなく、かつ地域に貢献している実績があったので入社を決めました。
また自分のペースで仕事を行うタイプの方が多く、ベテランのスタッフから色々と経験や知識を学ぶ事もできる環境であったため、入社を決めました。

訪問看護ステーションから看護師の補助として電動自転車で利用者の自宅を訪問し、リハビリを提供していました。またリハビリの提供だけでなく、対象者の身体の状態に合わせた歩行補助具の選定や住宅改修の提案も行っていました。
また、併設するグループホームの入居者に対して、身体の状態を評価したり、生活環境への福祉用具の導入の提案を行っていました。

事業所内でのルールが思っていた以上に統一されておらず、利用者とのトラブルに繋がった事がありました。スタッフの人数が少ない方が事業所のビジョンが共有しやすく、「みんなでより良いサービスを提供していこう」と模索しながら仕事に励む事ができるのではないかと予想していましたが、各スタッフ間でのモチベーションや仕事に関する価値観に差があり、それが人間関係に軋轢を生む事もあったので、イメージとは違ったものでした。

仕事の難しさに関しては、リハビリを提供する事によって状態が良くなる方、徐々に悪化する事を遅らせる事しかできない方、周囲の促しによりサービスを受けているため本人のやる気は全然ない方など、色々な方がいらっしゃいます。コミュニケーションの取り方やリハビリの実施方法を利用者のタイプに合わせて変えていくので、そこがおもしろさでもあり難しさにも感じます。
また、利用者だけでなくその家族がリハビリに求めている事も、提供するサービス内容に関わるため、利用者同様の対応が家族にも求められます。二者（家族内のキーパーソンが複数いる場合は三者）に対してサービスを提供しながら、利用者とその家族のビジョンをこちらがすり合わせていく作業にも難しさを感じます。
克服するためには自分が提供するリハビリの質を上げるための自己研鑽を日々行い、コミュニケーションを上手く取るための方法を学びました。日々利用者やその家族と接する中で「親身になって考える」事を意識する事で、相手が満足してくれるサービスを提供する事ができるようになってきました。
辛さに関しては、自分の感情を管理しながらサービスを提供していく職種のため、状況により自分の心のエネルギーが消耗されていく事に辛さを感じます。自分がサービスを提供する事によって得られる笑顔や相手からの称賛が、心のエネルギーを増やしてくれるのですが、それが得られない状況が続いた時には、仕事が辛く感じる事があります。
克服するために、サービス業が受けるストレスというものから学び、サービス業が心に及ぼす影響を知る事から始めました。状況によって自分が仕事に疲弊していると感じた時に、なぜストレスを感じているのか、その時の状況を自分で分析できる事により、疲弊しているのは仕方がない事だと認識できたり、反対に調子が良い時にも自覚できるようになりました。

病気や障害により、発症前の生活に戻れなくなったり、その方が人生で大事にしていた事ができなくなる状況に陥ります。リハビリを提供する過程でコミュニケーションを取りながら、対象の方の人生観や価値観などが分かってくるにつれ、コミュニケーションも徐々に円滑になるようになり、こちらに期待を持って下さる事が増えてきます。お互いに目標を共有しながら、それが達成できた時の、対象者の笑顔やこちらに称賛の言葉を頂けた時が一番やりがいを感じます。
また対象者の家族も、対象者が病気になる前の生活に戻ってほしいと思うケースがほとんどなので、同様な反応を家族からも得られた時にやりがいを感じます。

成功だったと思います。

部署の人数が多い時に感じていたストレスを減らす目的で転職をしましたが、実際は部署の人数が少なくても、管理者のマネジメントができていなければ問題が出てくる事が多くあり、事業のビジョンの共有や仕事に対するモチベーションを皆が維持する事は難しいと実感できたからです。
部署の人数だけがストレスの原因ではなかった事が知れたり、管理者のマネジメント能力が大切だという事が実感できたり、自分自身が受けているストレスを把握し対処する事が必要な事を知れたので転職は正解だったと感じます。

対象者との相性があるため、全ての方と楽しく関わる事は難しいと思いますが、自分と相性が合う方に関しては、色々お話を聞きながら談笑を楽しむのが良いのではないかと思います。より良いリハビリを提供する事も大切ですが、人との関わりを楽しみながら仕事に取り組む事が大事なのではないかと思います。

転職前に自分で想像していた状況にはなりませんでしたが、このきっかけがあった事で仕事に対する考え方や視点が増えた事は、自分にとってプラスの出来事だったと思います。環境が変わる事で関わるスタッフも変わり、色々な分野で働いてきたスタッフと会えた事で、転職前では経験できないような指導を受ける事もでき、作業療法士として働く際の視点が増えた事も良かったと思います。