高齢者看護におけるヒアリングと主治医との連携：90歳のお父様との向き合い方

この記事では、90歳のお父様の介護をされている息子さんからのご相談を基に、高齢者看護におけるヒアリングの難しさ、主治医との連携、そしてより良いケアを実現するための具体的な方法について解説します。高齢者の痛みや症状を正確に把握し、適切な医療を提供してもらうために、私たちができることはたくさんあります。この記事が、あなたの介護における悩みを解決するための一助となれば幸いです。

質問: 高齢者看護における、当人からのヒアリングや主治医との対応についてお伺いしたいです。当人とは父(90歳)で、私は息子です。父が残り何年生きられるか分かりませんが、出来る範囲でやれることはやりたいと思ってます。現状父は何とか歩けます。とは言え、杖や手すりを使って、20m位が限界というくらいです。昨年腰の手術を何とかやり終え、排便漏れの問題は何とか改善出来たところです。年なりなのでしょうが、リウマチ・骨粗鬆・神経痛・運動不足などにより、肩・腕・背中・両足に痛み・痺れ・虚脱感など様々症状があり、現状はそれらの対処が主となっております。当然、痛みや歩きにくさなどの状態を父から聞き取り、主治医に正確に伝達するのが私の役目になるのですが、その聞き取りが、うまく機能しません。父は、どこがどのように痛いのか上手く表現出来ないようなのです。痛みの場所を特定しようと色々表現を変えたりして聞き取ろうとはしますが、もう嫌だと言われたりして、話途中で終わってしまうことがとても多いです。なので主治医の先生には、父の日常の様子からある程度判断できることをお伝えするのが精いっぱいとなってますが、 (私としては、先生であればより確かなヒアリングが出来るのでは？という希望もありました。) どういうふうに痛いか分からないのに処置のしようが無いと言われることもありますし、やはり、聞き取りがちゃんと出来てないと、今やっていることが良い方向に向いているのか、全く自信が持てなくなってます。私と父の相性の問題は確実にあるとは思いますが、とはいえ投げ出すわけにはいきません。でも、行き詰ってます。このような場合、みなさんはどうされてますか？まさにうってつけの相談窓口とかあるのでしょうか？ ※主治医の先生はある程度信頼してます。ただ最近は関係が揺らいでいます。当初あった信頼関係が薄くなってしまったようです。原因は私にもありますし、父にもあると思います。ただ私には “90歳なんだからもうしょうがないだろう” というのは落としどころになっていないので、やはりもう少し頑張りたいです。セカンドオピニオンも考えましたが、内科も含め、どっぷりと依存しており、易々と病院を変えるもの難しいです。補足背景の話が長くなってしまいましたが、高齢者看護における、当人からのヒアリングや主治医との対応について、至らない私がどのような対応が出来るのか模索しております。お医者さんに上手く状態を伝えられるようにするには、どうすれば良いのか葛藤しておりました。最近感じるようになったのは、診察の前に、ある程度父の最近の状態を頭の中でまとめてはいるのですが、例えば肩の痛みがあって、腕の角度や捩じり・肩の高さ・顎の角度などがどのように痛みに反映するのか、どれぐらい痛むのか、一番痛い時と一番傷まない時の状態など父から可能な限り確認し、それを主治医に伝えるのですが、年齢的にここが原因と限定できるものではない、複合的な要因が考えられる。MRI・CTなど撮影しても恐らく特定出来ないと思いますよ。と返答されます。患部に注射を打ったり、痛み止めや、神経痛の薬を処方してもらったりしても、痛みの状態は私目で20～30%減った位ではないかと思えるレベルです。では、いまの状態を受け入れ、年だからしょうがないと考えるようにするしかないのか？というところで悩んでました。本当に長文ですみません。

お父様の介護、本当にお疲れ様です。90歳という年齢での様々な症状、そしてそれに対するご自身の葛藤、痛いほどよく分かります。高齢者の介護は、心身ともに大きな負担がかかりますよね。特に、ご本人の状態を正確に把握し、それを医療者に伝えることは、適切なケアを受けるために非常に重要です。今回のケースでは、ヒアリングの難しさ、主治医とのコミュニケーションの課題、そして「年齢だから仕方ない」という諦めとの葛藤が浮き彫りになっています。しかし、諦めることなく、より良いケアを模索したいというあなたの強い思いに、深く感銘を受けました。

1. 高齢者との効果的なコミュニケーションの取り方

高齢者とのコミュニケーションは、年齢や心身の状態、そして個々の性格によって大きく異なります。ここでは、より効果的なヒアリングを行うための具体的な方法をいくつかご紹介します。

時間をかける：焦らず、ゆっくりと時間をかけて話を聞きましょう。高齢者は、思考や言葉の表現に時間がかかる場合があります。
具体的な質問をする：「どこが痛いですか？」という漠然とした質問ではなく、「右肩を動かすとどんな時に痛みますか？」「いつから痛みを感じるようになりましたか？」など、より具体的な質問を心がけましょう。
五感を活用する：痛みや不快感を言葉で表現することが難しい場合は、体の動きや表情、声のトーンなど、五感を使って状態を把握しましょう。例えば、「肩を触ると痛がりますか？」「顔色はどうですか？」など。
相性の良い時間帯を選ぶ：高齢者は、体調や気分によって話せる時間帯が異なります。お父様の調子が良い時間帯を見つけ、その時間に話を聞くようにしましょう。
肯定的な言葉を使う：「辛いですね」「大変ですね」など、共感の言葉を伝えながら、安心して話せる雰囲気を作りましょう。
休憩を挟む：話が途中で嫌になってしまう場合は、無理に続けずに休憩を挟みましょう。気分転換になるような話題を振るのも良いでしょう。
記録をつける：日々の状態を記録することで、変化を把握しやすくなります。主治医に伝える際にも、具体的な情報を提供できます。

2. 主治医との連携をスムーズにするための工夫

主治医との連携は、適切な医療を受けるために不可欠です。しかし、コミュニケーションがうまくいかないと、情報が正確に伝わらず、治療の効果も十分に得られない可能性があります。ここでは、主治医との連携をスムーズにするための具体的な方法をご紹介します。

事前の情報共有：診察前に、お父様の状態をまとめたメモを作成し、主治医に渡しましょう。具体的な症状、痛みの程度、生活の変化などを記載すると、より効果的です。
質問事項の準備：診察前に、主治医に聞きたいことをリストアップしておきましょう。限られた時間の中で、必要な情報を漏れなく聞くことができます。
同席する：可能であれば、診察に同席し、お父様の言葉だけでは伝わりにくい情報を補足しましょう。
記録の共有：日々の状態を記録したノートやメモを、主治医と共有しましょう。変化を把握しやすくなり、より適切な治療に繋がる可能性があります。
定期的な面談：主治医との定期的な面談を設定し、現在の状況や今後の治療方針について話し合いましょう。
セカンドオピニオンの検討：現在の治療に疑問を感じる場合は、セカンドオピニオンを検討することも一つの方法です。複数の医師の意見を聞くことで、より納得のいく治療方針を見つけることができます。ただし、主治医との関係性を考慮し、慎重に進める必要があります。

3. 痛みの表現を助けるためのツールと工夫

高齢者が痛みを正確に表現することは難しい場合があります。そこで、痛みの表現を助けるためのツールや工夫を活用しましょう。

痛みのスケール：痛みの程度を数値で表すスケール（例：0～10のVAS（Visual Analogue Scale））を使用し、「どのくらいの痛みですか？」と尋ねることで、痛みの程度を客観的に把握できます。
痛みの部位図：体の部位図を用意し、痛む場所に印をつけてもらうことで、痛みの場所を特定しやすくなります。
痛みの表現リスト：「ズキズキする」「締め付けられるような」「ビリビリする」など、痛みの種類を表す言葉のリストを用意し、当てはまるものを選んでもらうことで、痛みの質を把握できます。
写真や動画：体の動きや姿勢を写真や動画で記録し、主治医に見せることで、痛みの原因を特定しやすくなる場合があります。
日記：痛みの時間帯、程度、誘因などを記録する日記をつけることで、痛みのパターンを把握しやすくなります。

4. 介護保険サービスの活用

介護保険サービスは、介護者の負担を軽減し、より質の高いケアを提供するために非常に有効です。積極的に活用しましょう。

ケアマネージャー：ケアマネージャーは、介護に関する専門家であり、様々な相談に乗ってくれます。お父様の状態に合わせたケアプランを作成し、サービスの手配をしてくれます。
訪問看護：訪問看護師は、自宅で医療的なケアを提供してくれます。痛みの管理や服薬指導、健康状態の観察など、様々なサポートを受けることができます。
訪問リハビリ：理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、リハビリテーションを提供してくれます。身体機能の維持・改善や、日常生活の自立を支援してくれます。
デイサービス：日中の時間をデイサービスで過ごすことで、家族の介護負担を軽減できます。レクリエーションや食事、入浴などのサービスも提供されます。
ショートステイ：短期間、施設に入所することで、介護者の休息（レスパイトケア）を確保できます。

5. 精神的なサポートと心のケア

介護は、心身ともに大きな負担がかかります。介護者自身が心身の健康を保つことも、質の高い介護を提供するために非常に重要です。以下の方法で、精神的なサポートと心のケアを行いましょう。

相談窓口の利用：介護に関する悩みや不安を、専門家や相談窓口に相談しましょう。
家族や友人との交流：家族や友人に話を聞いてもらったり、一緒に過ごす時間を設けたりすることで、心の負担を軽減できます。
趣味や休息時間の確保：自分の好きなことや、リラックスできる時間を意識的に作りましょう。
休息と睡眠：十分な休息と睡眠をとり、心身の疲労を回復させましょう。
専門家のサポート：必要に応じて、カウンセリングや精神科医の診察を受けることも検討しましょう。

これらの方法を組み合わせることで、より良い介護を実現できるはずです。焦らず、一つずつ試してみてください。

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まとめ

高齢者の介護は、困難なことも多いですが、適切な情報収集、コミュニケーション、そして専門家のサポートを得ることで、より良いケアを実現できます。今回ご紹介した方法を参考に、お父様とのコミュニケーションを改善し、主治医との連携を強化し、そしてご自身も心身ともに健康を保ちながら、より良い介護を目指してください。諦めずに、一歩ずつ進んでいきましょう。あなたの努力は、必ずお父様の笑顔に繋がります。

もし、それでも悩みが尽きない、もっと具体的なアドバイスが欲しいと感じたら、ぜひ私たちにご相談ください。あなたの状況に合わせた、最適なサポートを提供させていただきます。

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